ゾーニングマップを活用した再エネ導入計画・対策づくりのイメージ
ゾーニングマップを活用した再エネ導入計画・対策づくりのイメージ
(出所:WWFジャパン)
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 自然電力(福岡市中央区)は1月31日、徳島県鳴門市において、洋上風力発電の導入に向けた「ゾーニング」に関する調査を開始したと発表した。

 鳴門市、徳島地域エネルギー(徳島市)と共同で、環境省の公募事業である「平成28年度風力発電等に係るゾーニング手法検討モデル事業」に提案して採択され、2016年12月に調査を開始した。

 予算は総額約4000万円(2000万円/年)で、実施期間は2018年3月までを予定している。

 再生可能エネルギー開発における「ゾーニング」とは、環境面・経済面・社会面を統合的に評価し、関係機関や地域と合意を形成しながら、再エネの導入の適地・不適地を事前に定めていく手法を指す。

 再エネの導入で先行する欧州において、一般的に活用されている手法という。国や自治体などが、主に風力発電設備の設置地域をゾーニングし、地域に受け入れられやすい発電事業を推進している。

 鳴門市は、2014年6月から、徳島地域エネルギー、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)などとともに、市の全域を対象とし、陸上風力発電のゾーニングを進めている。

 今回は、同市沖の海域を対象とし、洋上風力発電のゾーニングに取り組む。各種の法令に基づく指定地域などへの配慮、モデル地域周辺の航路などの交通網の安全性の確保だけでなく、実測による対象地域の風況、鳴門市沖での漁業といった社会経済的な側面、景勝地などの景観、モデル地域周辺の鳥類や海棲哺乳類など、環境面から配慮すべき対象も複数あり、多面的な検討が必要としている。

 今回の調査のモデル地域面積は約5700haで、合計出力50MW程度の洋上風力発電所の適地の抽出を想定している。

 自然電力は、風況観測などの調査実施、風況シミュレーションなどの分析、事業性の検討などを担当する。

 同社では、国内における風力発電事業の従事経験者や、ゾーニングの専門知識を持つ社員が在籍している上、2016年4月から取り組んでいる、兵庫県洲本市五色沖での洋上風力発電の適地抽出事業の経験などを生かしていくとする。

 今回のゾーニングの結果は、鳴門市が今後、策定する再生可能エネルギー導入計画や、風力発電設備の建設ガイドラインに反映される。