スウェーデンEricsson社は、2017年1月31日、「Evolving LTE to fit the 5G future(5Gに向け進化するLTE)」と題した技術レポートを自社のニュースリリースで発表した(ニュースリリース)。以下にその概要をまとめる。

 3GPPが示す5Gへのロードマップには、LTEの改善によるもの(LTE-5G)と、新規に無線環境を構築するもの(NR-5G)の2通りある。LTE-5Gに比べ、NR-5Gは下位互換性の考慮する必要がない分、基礎部分からの変更はしやすいが、最終的にはLTEから移行可能な拡張性は確保しておく必要がある。また、既にLTEには多大な投資がなされていることから、5Gへの移行をLTEの拡張として対応するLTE-5Gは理にかなっていると言える。

3GPPの5G無線アクセスロードマップ
3GPPの5G無線アクセスロードマップ
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LTE-5Gの開発計画は、2017年3月完了予定の3GPPリリース14とその強化版であるリリース15により固められつつある。5G要件を満たす重要なものとして、高速化と大容量化を実現するFD-MIMOやアンライセンス周波数帯の活用、および、遅延時間を低減する仕様などが定義されている。

 FD-MIMO(full dimension multiple input multiple output、大量のアンテナアレーによって、3次元的にビームを形成)とCSI(channel state information、チャンネル情報)によるプリコーディングで高速化と大容量化を実現する技術は、リリース13で導入されリリース14で強化されている。下図は、リリース13機能使用時(アンテナ数は16)をベースとした場合の、リリース14での容量、セル端でのスループット、および、平均ユーザースループットの改善の様子を示している。

リリース14使用時のFD-MIMOの性能
リリース14使用時のFD-MIMOの性能
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