石油メジャー(国際石油資本)の英BPは1月25日、2035年までのエネルギー市場予測「BP Energy Outlook(BPエネルギー概況)」の2017年版を発表した。
世界のエネルギー需要は、年平均1.3%の割合で増え続け、2035年の時点で約30%増加すると見込む。発展途上国の成長が後押しし、グローバルの経済成長を年率3.4%と見込む。一方、エネルギー需要は、部分的に省エネルギーの急速な進展によって相殺されるため、グローバルのエネルギーの成長率は、経済成長率より大幅に低い伸び率になるとした。
技術の改善と温暖化問題への懸念が一次エネルギー需要の割合を変えつつあるが、2035年まで石油・天然ガスと石炭が主要なエネルギー源であり続けるという。
化石燃料のうちでは天然ガスが最も成長率が高いとする。特に、液化天然ガス(LNG)が、ガスの世界市場において急速に拡大し、米国のガス価格がその下支えになるとしている。石炭のグローバル消費量は、中国で石炭からよりクリーンで低炭素な燃料への転換が進むため、2020年代の中頃に頭打ちになると見込む。
再生可能エネルギーは2035年まで年平均7.6%の成長で推移し、現在のほぼ4倍まで増加、エネルギー市場において最も成長率の高いエネルギー源になるという。
再エネで伸び率の大きいのは、コスト競争力の高まる風力と太陽光で、今後20年間、中国が最も再エネの成長率が高い地域となる。中国の再エネ増加量は、欧州連合と米国の合計よりも多いと見込む(図)。
英BPが2014年に発表したエネルギー見通しでは、世界のエネルギー需要の伸びは年平均1.5%増、再エネの成長率は同6.4%増だった(関連記事)。今回の見通しでは、エネルギー需要の伸びが0.2ポイント減となった一方、再エネの伸び率は1.2ポイント増と再エネの成長が加速している。