英領ジブラルタルのWePower社は2月2日、「新規仮想通貨公開(Initial Coin Offering: ICO)」を実施し、約2万3000の投資家から総額4000万ドルの資金調達に成功したと発表した。エネルギー関連分野のICOとしては、最大規模という。
WePower社はブロックチェーン技術に基づくエネルギー取引プラットフォームや関連技術を開発するベンチャー企業である。
ブロックチェーン技術を活用してエネルギーデータを小単位で処理(トークン化)する実証プロジェクトをエストニア国内で行うことを1月に発表していた(関連記事)。
トークン事前販売の期間中に同社は、3000万ドルを調達していたという。内訳は1100万ドルが2017年10月の事前販売ラウンドで一般から、1900万ドルが戦略的に投資を行う投資家や基金からである。
WePower社は、将来発電されるエネルギーを「エネルギー・トークン」の形で事前に販売することによって、太陽光や風力などの発電事業者に事業機会を創出するとしている。他の類似プロジェクトと異なり同社は、電力事業者との強力な提携関係を重視しているという。
これまでに同社が提携している事業者や団体としては、エストニアの送電事業者であるElering ASと電力小売り事業者である220 Energia社、リトアニアのエネルギー省、スペインConquista Solar社などがある。
再生可能エネルギー事業にブロックチェーン技術を組み合わせる取り組みは世界各地で増加しつつあり、それに関連したICOも急増している(関連記事2)。
一方、大規模なICOに関しては、不正を防止するためとして当局による監視が厳しくなりつつある。
米証券取引委員会(SEC)は1月30日、違法な証券の発行にあたるとして、米テキサス州のアライズバンク(AriseBank)による総額6億ドルのICO差し止めに踏み切った。