トヨタ自動車常務役員の大竹哲也氏
トヨタ自動車常務役員の大竹哲也氏
[画像のクリックで拡大表示]

 一見すると好決算に見えるのだが…。

 2016年2月5日、トヨタ自動車が発表した2015年4~12月期の連結決算は、売上高が前年同期比7%増の21兆4313億円、営業利益が9%増の2兆3056億円と、いずれも4~12月期として過去最高を更新した。

 だが、同期のグローバル販売台数は649万3000台で前年から24万7000台減少した。販売が堅調な北米を除くと、日本、欧州、アジア、その他(中南米、オセアニア、アフリカ、中近東)などほとんどの市場で減少している。

 販売台数が落ち込んでも、営業最高益を達成できたのはなぜなのか。

 まず最も影響が大きかったのは米ドルに対する円安の効果だ。4300億円も増益効果が生じた。対ユーロでは200億円のマイナス影響、その他通貨では1000億円のマイナス影響が出たものの、全体でも3100億円のプラスになった。

 もう1つがトヨタ自動車が得意とする「カイゼン力」だ。乾いたぞうきんを絞り続けるようなコスト削減や工場の生産性向上といった原価改善の努力により、実に2350億円もの増益効果を生み出した。