図1:「鉄鋼ビルディング」の外観
図1:「鉄鋼ビルディング」の外観
[画像のクリックで拡大表示]
図2:セキュリティーゲートの乗車エレベーター号機表示部分
図2:セキュリティーゲートの乗車エレベーター号機表示部分
[画像のクリックで拡大表示]
図3:中間階免震対応エレベーターの構造
図3:中間階免震対応エレベーターの構造
[画像のクリックで拡大表示]

 三菱電機は、2016年2月4日にグランドオープンした大型複合施設「鉄鋼ビルディング」(東京都千代田区)にエレベーター17台とエスカレーター10台を納入した(図1、ニュースリリース)。エレベーターには、セキュリティーシステムと連動した行き先登録システム「ELE-NAVI」を搭載した機種や、中間階免震構造ビルに対応した機種が含まれる。

 ELE-NAVIは、利用者の行き先階に応じてエレベーターを割り当て、運行を自動制御するシステムだ。利用者がセキュリティーゲートを通る際、社員証などIDカードの情報からその人の行き先階を自動で登録。セキュリティーゲートの表示器で、どのエレベーターに乗るかを指示する(図2)。利用者がエレベーターホールで昇り/降りのボタンを押さなくても自動でエレベーターが到着し、エレベーター内でも行き先階ボタンを押す必要がない。その上、行き先階が同じ利用者を同じエレベーターに集めることで、停止する階を少なくでき、待ち時間・乗車時間の短縮と運行効率の向上を図れる。

 鉄鋼ビルディングは、中間階に免震装置を採用している。こうした建物では、地震発生時に建物の上層部と下層部で水平方向の移動量が異なるため、その部分を貫通するエレベーター昇降路には層間変位が発生する。そこで同社は、エレベーターのガイドレールシステムと管制運転を免震層の層間変位に対応させた(図)。

 まずガイドレールシステムでは、免震階付近のガイドレールの固定間隔を通常より広くすることにより、レールにかかる応力を抑える。加えて、ガイドレールを免震層より上で吊り下げるとともに、上下方向にスライドできる特殊な固定具(免震クリップ)を採用し、エレベーターが非常停止した際もレールが座屈変形しないようにした。