予測モデルの概要図
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入力データの例
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先行研究との比較
先行研究との比較
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 NTTは糖尿病患者の症状悪化につながる「受診中断」をAI(人工知能)で予測するモデルを、東京大学大学院医学系研究科医療情報学分野 教授の大江和彦氏らと共同開発した(ニュースリリース)。2017年度から、複数病院データベースを使った評価試験を開始する。

 開発したモデルでは、電子カルテのデータや特徴量を入力することで、予約不履行(受診が途絶えるきっかけになり得る予約外来の不受診)と受診中断リスク順位(将来の受診中断日までの日数の長さによる患者の順位付け)の2つを予測する。東京大学の医療データ分析や臨床における知見を参考に生成した特徴量と、NTTのAI技術「corevo」を通じた機械学習に関する知見を生かした。

 このモデルを、2011年~2014年に東京大学医学部附属病院で通院治療を受けた糖尿病患者約900人の電子カルテデータで評価したところ、受診中断を7割の精度で予測できたという。予約登録日や予約日の曜日、予約登録日と予約日の間隔など、患者の予約行動に関わる項目が受診中断の予測に影響することも分かった。

 予測結果は、受診中断を避けるために積極的に支援すべき患者の絞りこみや、支援開始時期の見極め、支援度合いの調整などに利用できるという。これを通じ、医師の診療を支援したり、患者の病態を維持・改善したりする。

 構築したモデルは、電子カルテデータの標準規格であるSS-MIX2標準化ストレージに準拠。東京大学医学部附属病院以外の医療機関にも展開できる。対象データの規模を拡大することでより精緻な予測モデルを構築できると期待されるため、複数病院データベースを使った評価試験を行う。