仏Dassault Systemes社は、3D-CAD「SOLIDWORKS」の次期版「SOLIDWORKS 2017」に向けて開発中の機能を、同社のイベント「SOLIDWORKS World 2016」(2016年1月31~2月3日、米国ダラスKay Bailey Hutchison Center)で公表した。SOLIDWORKS 2017は2016年秋ごろに同社が発表すると見られる。複雑な3Dモデリングを簡単な操作で実行できる機能を多数加え、他のCADから読み込んできたデータをそのまま利用可能にするなどの改良を加える。

データ読み込み:他CADのデータを読み込み後すぐに利用可能

 SOLIDWORKS 2017では、さまざまなCADのデータを扱う機能を強化する。他のCADの部品データを読み込み、すぐにアセンブリ内に組み付けられる。現行バージョンまでは、部品データをいったんSOLIDWORKSのデータとして書き出し、改めて読み込む必要があったが、このような作業を不要にする。3D形状の表示ツール「eDrawings」でも、CATIAのデータファイルを読み込み可能にするなど、扱えるデータの種類を増やす。

図1 データを読み込む際のファイルの指定画面
図1 データを読み込む際のファイルの指定画面
ファイル拡張子に「ipt」(「Autodesk Inventor」の部品ファイル)、「iam」(同アセンブリファイル)、「prt」(「Creo」の部品ファイル)が見える。
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モデリング機能:複雑な操作を少ない手数で実行

 ねじ山のフィーチャー(Thread Feature)は、ねじの始まりと終わりの部分の処理が指定可能になる見込み。Thread Featureは、ねじ山断面の細いひもを軸に巻くようにしてねじの形状を形成するものだが、現実のねじ山では始端・終端部分の断面は薄く、徐々に太くなって所定の断面になる。この状況を表現できるようにした。3Dプリンターでの出力を前提にねじ山を設ける場合などに有効と見られる。

図2 ねじ山フィーチャーの端を薄くする指定が可能
図2 ねじ山フィーチャーの端を薄くする指定が可能
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 面取り(チャンファ―)コマンドには、途中で局所的に大きさの変わるものを作成できる機能を追加。さらに、面取りと角丸め(フィレット)を相互に変更可能にした。SOLIDWORKSを含め3D-CADでは、面取りか角丸めかを変更したいときには、一度削除して作り直すしかないのが普通。しかし削除操作は3Dモデルに悪影響を与え、その後のモデリングが正常にできなくなる恐れが高い。このようなリスクを避けるため、削除することなく変更ができるようにする。

図3 局所的に大きさの異なる面取り
図3 局所的に大きさの異なる面取り
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図4 面取りをフィレットに変更した様子
図4 面取りをフィレットに変更した様子
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 穴フィーチャーは、両端に座ぐりや段付き加工を指定可能になった。現行バージョンまででは、穴の片方の端にのみ指定できた。

図5 穴フィーチャの両端に座ぐりや段付き加工を指定可能
図5 穴フィーチャの両端に座ぐりや段付き加工を指定可能
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