図1●指針で示された「FIT電気」の表示例 
図1●指針で示された「FIT電気」の表示例 
 (出所:「電力の小売営業に関する指針」)
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 経済産業省は1月29日、「電力の小売営業に関する指針」を制定したと発表した。今年4月からの小売り全面自由化に向け、小売電気事業者による電力需要家への適切な情報提供の方法について定めた。需要家の保護が目的。

 経産省は昨年12月に「電力の小売営業に関する指針(案)」を示し、パブリックコメントを受け付けていた(関連記事) 。今回、制定された「指針」は、すでに公表された「指針案」に沿ったものとなった。環境NGO(非政府組織)などが求めていた「電源構成の開示の義務化」については、指針案で示した「努力義務」のままとなった。

 ただし、開示方法について、「ホームページ等を通じて需要家に対する電源構成の情報の開示を行うことが望ましい」との記述から、「ホームページやパンフレット、チラシ等を通じて需要家に対する電源構成の情報の開示を行うことが望ましい」と変更された。開示方法の例示に「パンフレット、チラシ」が加えられことで、より需要家の目に着きやすい表示方法を促す方向となった。

 加えて、排出係数の記載に関する部分は、「二酸化炭素排出係数を併せて記載することが望ましい」との表現から、「地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)に基づく二酸化炭素排出係数(調整後排出係数)を併せて記載することが望ましい」との記述に変わった。排出係数の算出方法について具体的に示すことで、実務的に「排出係数の記載」に取り組みやすくなった。

 再エネに関しては、指針案の通り、「再生可能エネルギー発電所で発電した電気」と表示できるのは、固定価格買取制度(FIT制度)を利用していないことが条件となる。

 FITを利用している場合には、「FIT電気」との表示が基本となる。ただ、以下の3条件を満たせば、「再エネ」や「太陽光」などといった契約上の電源種別の事実を表示・説明することや、「再エネ発電事業者から調達した電気」といった中立的な事実関係を追加的に表示・説明することは問題ないとしている。それが認められる3要件とは、(1)「FIT電気」である点について誤解を招かない形で説明すること、(2)電源構成全体に占める割合を説明すること、(3)FIT制度を説明すること――となる。その表示例を示した(図1)。