フランスの電機大手シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)社と米国のエネルギー大手デュークエナジー(Duke Energy)社は2月1日、米メリーランド州モンゴメリー(Montgomery)郡にある2カ所の公共施設でマイクログリッドを建設すると発表した。

 今回マイクログリッドが導入されるのは、同郡の公共安全本部(Public Safety Headquarters: PSHQ)と矯正施設(刑務所)である。

 公共安全本部には、郡の警察、消防署、救急サービス、緊急事態管理および国土安全保障局(OEMHS)といった、非常に重要な部署が含まれるため、これらの施設では非常時でも途切れなく電力を安定供給しなければならない。

 このような背景から、今回同郡では電力系統の改修と高度な制御機能を含むマイクログリッドを導入することを決めたという。マイクログリッドによって、より信頼性が高く効率の良い電力を確実に供給し、暴風などの自然災害の発生時におけるレジリエンス(強靭性)を向上させる狙いがある。

 両施設の電力インフラを改修するとともに、クリーンな電力を生み出す太陽光発電システムと、非常時でも提供できる天然ガスの発電設備を導入する。「アイランド・モード」により、停電などによって系統の電力網から遮断された場合でも施設の自立運用を可能とする。

 両マイクログリッドで、毎年約330万kWhの電力を太陽光で発電すると見込む。これは、平均的な家庭が使用する電力に換算すると約400世帯分に相当するという。ガス発電設備は、コージェネレーション(熱電併給)システムにより740万kWhの電力と熱を供給し、ビルの冷暖房にも活用する。

 これらの自家発電設備により、毎年3629tの温室効果ガスの排出を抑制できると見込んでいる。これは、自動車に換算すると、767台の排出量に相当するという。

 両マイクログリッドの資金調達と開発では、シュナイダーエレクトリック社の「サービス型マイクログリッド(Microgrid-as-a-Service: MaaS)」によるビジネスモデルを活用する。これにより、マイクログリッドを導入するモンゴメリー郡は多額な初期投資を負担せずに、先端技術を駆使したマイクログリッドによる持続可能性や信頼性、強靭性といったメリットを享受できるという。

 マイクログリッドを構成する機器や設備はデュークエナジー社が所有し、運用や維持・管理を行う。モンゴメリー郡はデュークエナジー社と電力購入契約(PPA)を締結し、電力と熱を同社から購入する。

 これら2カ所のマイクログリッドは、2018年までの稼働を計画している。