GridShareプラットフォームのイメージ図
GridShareプラットフォームのイメージ図
(出所:伊藤忠商事)
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 伊藤忠商事は1月29日、機械学習などのAI技術を活用した蓄電池プラットフォーム事業を展開する英Moixa Energy Holdings社と資本業務提携したと発表した。

 日本では、2019年から固定価格買取制度(FIT)の買取期間が順次満了するため、今後蓄電池を併用した太陽光発電の自家消費が増加することが予想される。Moixa社の技術を用いた「家庭用蓄電池ソリューション」を国内で展開する。

 Moixa社は、英国を中心に1000台超の家庭用蓄電池の販売実績がある。AI技術によって複数の蓄電池を群制御し、余剰電力を電力事業者に販売するなど、分散型エネルギー資源の最適に制御できるという。また、英国では大手電力会社などと共同で、分散型エネルギー資源の最適活用を見据えた実証プロジェクトも実施している。

 今回の提携により伊藤忠商事は、Moixa社のプラットフォーム技術ソフトウエア「GridShare」のうち、一般需要家向けサービス「Gridshare Client」の国内独占販売権を取得した。GridShareは、AI技術を活用して一般需要家、発電事業者、送配電事業者といった各階層の顧客向けにエネルギー資源を最適に制御する。また、家電、電気自動車(EV)など、あらゆる機器との接続・連携が可能という。

 伊藤忠商事は分散型エネルギーの基幹システムとなる蓄電池市場に早くから着目しており、2013年に一般家庭用の蓄電池ビジネスに参入した。独自ブランドの蓄電システム「Smart Star」をエヌエフ回路設計ブロック(横浜市)と共同開発・製品化している。2017年度末時点の販売見込みは、累計約6000台(55MWh相当)。

 提携第1弾として、伊藤忠商事はMoixa社と共同でGridShareを国内仕様化し、2018年夏頃までにSmart Star製品へ標準搭載し、GridShareプラットフォームを活用した「蓄電池最適オペレーションサービス」を展開する。気象予報やユーザーの電力需要・発電予測などを分析・学習し、蓄電池を最適に充放電することで、太陽光発電と蓄電池を効率的に運用できるという。

 将来的には、バーチャルパワープラント(VPP)事業や、今後増加するEV充電管理など、多様なビジネス展開も視野に入れる。従来から同社は、EVを中心にLiイオン電池の原料・部材のサプライチェーンビジネスから自社ブランドの蓄電池を拡販しており、今後は国内および海外に向けてGridShareプラットフォーム事業を横展開していく計画。