慶応義塾大学医学部は2018年1月28日、健康・医療分野のビジネスプランコンテスト「健康医療ベンチャー大賞」の決勝大会を同大学三田キャンパスで開催した。「医学部発ベンチャーを100社創出する」ことを掲げ、大学の研究シーズを起業につなげる文化を醸成することを狙う催しで、2017年に続く2回目の開催(関連記事1同2)。内閣府が後援し、日本マイクロソフトなど15社と1個人が協賛した。

 同コンテストには社会人部門と学生部門があり、優勝チームには賞金(社会人部門100万円、学生部門30万円)のほか、慶応医学部および慶応ビジネス・スクールによる起業支援などの副賞が与えられる。今回は「チームに慶応の所属者か卒業生がいること」という第1回開催時の条件を撤廃し、誰でも応募できるようにした。

審査員による講評の様子
審査員による講評の様子
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 第1回の70チームを上回る、77チームが応募。書類審査を通過した20チームに面接審査を行い、これを通過した6チーム(社会人部門3チーム、学生部門3チーム)による決勝大会を1月28日に開催した。審査員は、慶応大学大学院医学研究科委員長/医学部教授の岡野栄之氏、ロート製薬 代表取締役会長兼CEOの山田邦雄氏ら7人が務めた。

 新たな企画も多数、盛り込んだ。基調講演として、健康医療分野のベンチャー創出について議論するシンポジウムを開催。慶応大学の医学・経営・理工学分野の教員のほか、厚生労働省 医務技監の鈴木康裕氏、東京大学エッジキャピタルの郷治友孝氏がパネリストとして登壇した。

 ファイナリスト6チームによるプレゼンテーションに加えて、面接審査で4~6位に選ばれた7チーム(社会人部門3チーム、学生部門4チーム)が、審査対象外の短いプレゼンテーションである「ライトニングトーク」を披露。会場の聴講者が投票する「オーディエンス賞」も新設した。

 開会の挨拶をした慶応大学医学部長の天谷(あまがい)雅行氏は、慶応医学部が2017年に開設100年を迎えたことに触れ、2018年は「次の100年に向けて慶応医学部をつくる元年」だと話した。慶応は1873年に「慶応義塾医学所」を設立したものの、西南戦争などの影響で財政が厳しくなり、開所後7年で閉鎖した経緯がある。こうした教訓から、次の100年に向けては「人と財務の独立が大切であり、産学連携やイノベーションはその重要なキーワードになる。次の100年を支える人をどう育てるかにおいて、今回のような取り組みは大きな役割を担う」とした。

 決勝大会の詳細は、追って日経デジタルヘルスの続報でお伝えする。