「製造販売業」から「顧客価値創造企業」への転換を中期ビジョンに掲げるJVCケンウッド。そのビジョンの下、車載製品事業においては、ドイツ方式のものづくり体制の確立に取り組んでいる。

図1●松沢俊明氏 日経エレクトロニクスが撮影。
図1●松沢俊明氏 日経エレクトロニクスが撮影。
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図2●人のスキルに頼らない JVCケンウッドのスライド。
図2●人のスキルに頼らない JVCケンウッドのスライド。
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 同社はその体制確立の一環として、設計環境の改革を実行中だ。その中で行っているプリント基板(以下、ボード)設計用の新ツールの導入や、設計端末のシンクライアント化について講演した。この講演は、図研のプライベートイベント「Zuken Innovation World 2015」(2015年10月15日と16日に横浜ベイホテル東急で開催)で行われた。

 最初に登壇した松沢俊明氏(執行役員 最高生産責任者)は、顧客価値創造企業に転換するために何が必要かを明らかにした(図1)。同氏によれば、開発やサービスを含めたサプライチェーン全体で効率化を図る必要がある。例えば、設計ではその期間をいかに短くするかが重要だとした。

 従来のものづくりの方法では、欧州の自動車メーカーには通じない。そこで、同社では、ドイツ方式のものづくりの方法を採り入れる(図2)。ポイントは現場作業者のスキルに頼った方法から、自動化をベースにした仕上がり品質が一定の方法に移行することである。ドイツ方式ものづくりの体制を確立するためには、複数の施策が必要だが、今回の講演では、(1)新たなボード設計用EDAツールの導入と、(2)設計端末のシンクライアント化について説明した。