SOI(Silicon on Insulator)基板を使う半導体プロセスに焦点を合わせたフォーラム「SOI Consortium FD-SOI and RF-SOI Forum - Tokyo 2016」が2016年1月21日に東京で開かれた。Si層が非常に薄いSOIである「FDSOI:Fully Depleted Silicon on Insulator」や高周波向けSOIである「RFSOI」の最新状況が報告された。

 現在、量産適用されている先端ロジックプロセスは、FinFETを使った14nmや16nmのプロセスである。マイクロプロセッサーやスマートフォン向けアプリケーションプロセッサー、FPGAなどに適用されている。一方、それら以外の一般的なSoCやICでは、コストや設計の連続性の面で、14nm/16nm FinFETプロセスは適用が難しい。そうした"ふつう"のICでは、28nmバルクCMOSの次のプロセスとして期待されているのが、FDSOI基板を使った28nmや22nmのCMOSプロセスである(日経テクノロジーオンライン関連記事1)。

ルネサス、16年にFDSOIマイコンの量産準備完了

図1●蒲原史朗氏 日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンはルネサスのスライド。
図1●蒲原史朗氏 日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンはルネサスのスライド。
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 今回のフォーラムでは、全体の基調講演に続いて「FD-SOI Forum」があり、FD-SOI関係の講演が複数あった。最初に登壇したのは、ルネサス エレクトロニクスの蒲原史朗氏(生産本部 デバイス開発統括部 先端デバイス開発部 主幹技師)である(図1)。

 同氏は、ルネサスのFDSOI技術である「Silicon-on-Thin-Buried-Oxide(SOTB)」(日経テクノロジーオンライン関連記事2)に関して語った。例えば、那珂事業所の65nmラインでSOTB基板上にCMOSプロセスで作ったマイコンを紹介した。Cortex-M0をコアにしたこのマイコンはスリープ時の消費電流が0.14μAと低かった。65nmバルクCMOSで作るマイコンに比べて消費電流は1/10で、IoT用途では最適だとした。同氏によれば、65nmのFDSOIマイコンの量産は2016年に開始できる見込みだという。

図2●Subramani Kengeri氏 日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンはGLOBALFOUNDRIESのスライド。
図2●Subramani Kengeri氏 日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンはGLOBALFOUNDRIESのスライド。
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 続いて登壇したのは、米GLOBALFOUNDRIES社のSubramani Kengeri氏(VP of Global Design Solutions)である(図2)。同氏は同社の22nm FDSOIプロセス「22FDX」(日経テクノロジーオンライン関連記事3)について語った。同氏によれば、同社では28nm FDSOIプロセスも開発したが、コストメリットが大きい22nm FDSOIの方を事業化することにしたという。2016年には22FDXの商用生産が始まり、2017年の中頃から本格量産を開始する。同氏は講演の中で、ARM Cortex-A17を4コア集積したチップの設計に成功したことなどを報告した。