1月上旬から中旬にかけて、米国では「International CES 2016」と「デトロイトモーターショー2016」が相次いで開催され、クルマに関する様々なニュースが飛び交った。その中でもメディアの注目を最も多く集めた企業の一つが米Ford Motor 社だろう。

 CESではプレスデーの一番手として、朝7時半から記者会見を開いた。ここでの注目は、噂されていた「米Google社との自動運転に関する提携」だったのだが、意外にもFordのマーク・フィールズCEOのスピーチの中に、Googleという言葉はいっさい出てこなかった。会見後の囲み取材でも「自動運転については自社開発もあるが、場合によっては外部の企業と連携することもあり得る」と言うにとどまり、Googleという単語をできるだけ使わないように、細心の注意を払っている雰囲気だった(図1)。

図1 CESでの会見後、記者団の質問に答えるFordのマーク・フィールズCEO。
図1 CESでの会見後、記者団の質問に答えるFordのマーク・フィールズCEO。
[画像のクリックで拡大表示]

 Fordは会見のなかでも明らかにしたように、「自動運転は大きな時代変革のなかの“一つの要素”」という見解を示している。自動車産業を取り巻く社会環境は大きく変化しており、それに対応して事業形態を大きく見直し、「Automobile」から「Mobility」へと事業の核を転換していくのだという。それを具現化するのが、昨年の「CES 2015」のキーノートスピーチでフィールズCEOが提唱した事業戦略、「Ford Smart Mobility」だ。