図1 医療用電子機器のねじ締め作業ロボット
図1 医療用電子機器のねじ締め作業ロボット
60秒で10カ所以上のねじを締める。作業者はその間、隣で前後工程の作業を進める。
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図2 大型事務用電子機器のねじ締め作業ロボット
図2 大型事務用電子機器のねじ締め作業ロボット
ワークの向きを変える仕組みを組み合わせた。
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 沖電気工業(OKI)はEMS(電子機器受託製造サービス)事業「Advanced-M&EMS」において、本庄工場での電子機器の生産に、作業者のそばで動くロボットを自作、活用していることを明らかにした(関連記事)。プリント回路基板を筐体に取り付ける際のねじ締め作業と、製品(ワーク)の初期調整作業のためのロボットを組み立てライン内に設置。医療関連の電子機器製品について、製品・梱包・保証書に張るシリアルナンバーが互いに一致していることを確認する作業にもロボットを利用している。

 ねじ締め作業のロボットは、多軸ロボットにドライバーを持たせたもの(図1)。作業者がロボット直下の所定位置に筐体と基板をセットすると、ロボットがねじ(ビス)をドライバーに吸い付け、ねじ穴の位置に運んで締める。ワーク1個当たり10カ所以上のねじ穴があり、この全部を一連の動作で取り付ける。所要時間は約60秒で、その間に作業者は他の作業を進められる。さらに、ねじの締め忘れがなくなり、締め付けトルクが一定になるメリットもある。大型の事務用電子機器の生産ラインでもねじ締めロボットを導入しており、ワークの向きを変える仕組みを組み込んで、異なった向きのねじ締めができるようにした(図2)。

図3 初期調整作業用のロボット
図3 初期調整作業用のロボット
所定のタイミングで押し棒が動作し、設定ボタンを押す。
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 製品の初期調整作業用のロボットは、ある測定値を監視して所定の値になるまで待ち、製品の設定ボタンを押す機能を持つ(図3)。製品のスイッチを入れてから測定値が所定値になるまで数十秒程度かかるため、その間待ち時間が生じる。ロボットを導入する前、作業者は待ち時間に他の作業を行っていたが、設定ボタンを押すタイミングをうっかり逃すと、最初からやり直しになってしまう。しかもこの設定は数回必要になる。ロボットに一連の作業を任せることで、作業者は約60秒間にわたって他の作業に専念できるようになった。