出力53MWのBroken Hill Solar Plant
出力53MWのBroken Hill Solar Plant
(出所:AGL Energy社)
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 米国の大手太陽光パネルメーカーであるファーストソーラーは1月20日、オーストラリアで最大規模となるメガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトが竣工したと発表した。

 オーストラリア東南部のニューサウスウェールズ州に立地する、2カ所・合計出力 155MWのメガソーラーで、同日、竣工した。出力102MWの「Nyngan Solar Plant」と、出力53MWの「Broken Hill Solar Plant」である。

 オーストラリアにおいて、出力10MW以上のメガソーラーは、合計245MWが稼働済みとなっている。そのうち、合計165MWがファーストソーラーが開発した案件となっている。

 両メガソーラーは、プロジェクトパートナーとなるオーストラリアAGL Energy社のほか、オーストラリアの再生可能エネルギー庁(Australian Renewable Energy Agency:ARENA)、ニューサウスウェールズ州政府が協力して開発した。

 AGL Energy社は、最近10年間に、合計約20億ドルを再生可能エネルギーに投資している。

 今回の両メガソーラーの開発費は、約4億4000万ドルとなった。再生可能エネルギー庁を通じ、連邦政府が1億6670万ドル、ニューサウスウェールズ州政府が6490万ドルを支援している。

 オーストラリアの再生可能エネルギー庁は、メガソーラーの開発で合計1億ドルのプロジェクトを実行しており、今回の支援はその一環となる。

 ファーストソーラーは、200万枚以上のカドミウムテルル(CdTe)型の太陽光パネルを納入したほか、EPC(設計・調達・施工)サービスを担った。稼働後5年間の保守も担当する。

 ファーストソーラーによると、オーストラリアは、日射量など環境面で太陽光発電に向くことが知られている一方、太陽光発電のコストと性能の改善が継続的に進んでいる地域であることは、あまり知られていないとしている。

 同社のジャック・カーティス アジア太平洋地域マネージャー(関連コラム)の発言として、オーストラリアにおいて、太陽光発電は他の電源に対して、現時点でコスト競争力を備えているという内容を紹介している。近い将来には、助成などの支援を受けることなく、他の電源と競合できる競争力を持てるように、持続的にコスト削減を進めていくとしている。

 オーストラリアでは、老朽化した石炭火力発電所が廃止されることも、今後より多くのメガソーラーを導入できる余地を広げている。

 オーストラリアにおける今後のコスト削減策の一つに、調達コストの削減を挙げている。そのためのサプライチェーンを、これまでのオーストラリアでのメガソーラーの開発で確立できたとしている。

 今回の2カ所のメガソーラーでは、地域の企業と協力して建設したほか、知見を共有するための研修への投資などによって、地域経済に貢献しているとする。