日立製作所と北海道大学は2017年1月24日、日本医療研究開発機溝(AMED)から「認知症の早期診断・早期治療のための医療機器開発プロジェクト」を受託したと発表した(ニュースリリース)。認知症の早期診断および検査時間の大幅な短縮を可能とするMRI検査法を共同で開発する。実施期間は2016年11月~2019年3月。

 プロジェクトでは、QSM(鉄濃度分布を解析する手法)とVBM(脳の萎縮の程度を評価する手法)を同時に撮像できるハイブリッド撮像法を開発する。現在は10分以上かかるMRI検査の撮像時間を5分前後に短縮することを目指すほか、QSMとVBMのハイブリッド解析法を開発することで、現状では約20分かかる解析時間も大幅に短縮する。

 これらの撮像法や解析法の開発は、北海道大学病院で臨床研究を行いながら進めるという。さらに、その他のMRI検査法の結果を組み合わせ、撮像画像を総合的に解析できるようにする。これにより、健常人と軽度認知障害(MCI)患者の鑑別診断、健常人とアルツハイマー型認知症患者の鑑別診断などにおける解析精度を高める。

 日立はプロジェクトで開発する技術を基に、プロジェクト終了後5年以内にハイブリッド撮像法を搭載したMRI装置の製品化、およびハイブリッド解析法のソリューション提供を目指す。北海道大学病院は認知症の早期診断法の確立と検証を進め、認知症の進行抑制や発症予防に役立てる考え。