日本調剤は2017年1月23日、東京大学が開発した自己管理支援アプリ「GlucoNote」と同社の電子お薬手帳「お薬手帳プラス」を連携させ、薬剤師による対面サポートを加えたアプリ利活用の効果検証を、東京大学大学院医学系研究科と共同で開始したと発表した(ニュースリリース)。「世界でも類を見ない新たな研究」(日本調剤)といい、2016年12月1日から着手している。

 GlucoNoteは、2型糖尿病およびその予備群を対象に東京大学大学院医学系研究科 健康空間情報学講座が開発したアプリ。米Apple社が提供するフレームワーク「ResearchKit」を用いて開発したもので、自己管理支援と研究調査の両方を目的とする(関連記事)。2型糖尿病のコントロールに影響する運動や食事などの生活習慣と、血糖値などの測定結果の記録をサポート。生活習慣が血糖値や血圧、体重にどう影響するかなどを調査・解析できる。

自己管理支援アプリと電子お薬手帳を連携
自己管理支援アプリと電子お薬手帳を連携
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 一方、お薬手帳プラスは日本調剤が独自に開発した電子お薬手帳アプリ。スマートフォンやパソコンで薬の管理や各種健康管理ができる。「自動連携機能」による服薬情報の自動登録や、スマートフォンで撮影した処方せん情報を薬局へ送信できる「処方せん送信機能」、家族単位で薬を管理できる「家族管理」設定などを備える。

 かかりつけ薬剤師は、2016年4月に始動した「かかりつけ薬剤師制度」で定義される薬剤師を指す。ICTを用いた服薬情報の一元的・継続的把握や、医療機関などとの連携が求められる。同年10月には「健康サポート薬局制度」が始まったことで、薬局には健康保持・増進を支援する「健康サポート機能」も求められるようになった。

 共同研究では、これら3つの要素を組み合わせ、その効果を検証する。東京大学大学院医学系研究科 健康空間情報学講座 特任准教授の脇嘉代氏が研究統括者を務め、GlucoNoteとお薬手帳プラスの連携および薬剤師による支援が、GlucoNoteの利用率や継続率に与える効果を調べる。

 研究ではPHR(Personal Health Record)の利活用や薬剤師の介入に関して新たな知見を得ることを狙うとともに、新世代の薬局を構築するための先進的ノウハウを取得することを目指す。日本調剤は今回の研究を契機に、新世代の薬局づくりのための取り組みを加速させるという。