山梨県と鉄道総合技術研究所、古河電気工業、ミラプロの4者は2017年12月19日、改良型の「超電導フライホイール蓄電システム」を公開し、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の出力変動を緩和するための蓄電装置として、実用化に一歩前進したとの見方を示した。

 甲府市にある米倉山太陽光発電所の敷地内に設置・実証している。直径2mのフライホイール(弾み車)を内蔵し、電力を回転運動として蓄えることで充放電する。定格出力300kW、充電容量100kWhとなる。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」プロジェクトで、2012~2015年度に設置・実証運用した装置を改良した。隣接して稼働する出力1MWのメガソーラーの出力変動を緩和する形で運用している。

 従来システムからの主な改良点は、フライホイールの材質を従来のCFRP(炭素繊維強化樹脂)から鋼製に変えるとともに、回転軸の横揺れを抑える「制御型磁気軸受(AMB)」をフランス製から国産に切り替え、制御方法もアナログ式からデジタル式に変更した。

 フライホイールを鋼製にしたことで、重さ4tを維持しつつ、体積はCFPR製の20%(5分の1)までコンパクト化した。ただ、CFPRに比べると強度に劣るため、最大回転数は6000/分から3000/分に抑えているという。

図1●重さ4tの鋼製フライホイールを採用した
図1●重さ4tの鋼製フライホイールを採用した
(出所:山梨県)
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図2●モーター/発電機で電気を回転運動に変えて蓄電する
図2●モーター/発電機で電気を回転運動に変えて蓄電する
(出所:山梨県)
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