フロスト&サリバンは、2018年のグローバルヘルスケア業界のトレンド予測を発表した。テクノロジーとの融合がさらに進むことで、AI(人工知能)や遠隔地への医療サービスの提供を可能にする技術であるテレヘルス、IoMT(Internet of Medical Things:ヘルスケア分野のIoT)などの普及が進む見込みだとした。

 具体的には、次の8つのトレンドを予測した。すなわち、(1)PaaS(Product as a Service)型のビジネスモデルが浸透する、(2)クラウドが企業の中核プラットフォームとなる、(3)テクノロジー企業が影響力を持つ、(4)バーチャルや遠隔での治験が増加する、(5)医療機関にロボットが普及する、(6)アジア太平洋地域で「スマートホスピタル」が増加する、(7)ヘルスケア業界へのサイバー攻撃が増加する、(8)企業や保険者による健康維持・増進プログラムが増加する、である。

GoogleやAppleが大きな影響力を

 (1)については、単体の製品を販売するビジネスモデルから脱却すると予測。AIやビッグデータを用いてデータを活用した付加価値のあるサービスの提供が重要になるという。(2)は、医療データ量が大幅に増加したことに対するコスト削減の一環としてクラウドが中核プラットフォームを担うと見る。

 (3)、は米Google社や米Apple社といった企業が大きな影響力を持つようになるという。FDA(米食品医薬品局)のファストトラック(優先承認審査制度)プログラムを利用してデジタル治療や医療アプリを臨床領域に投入する企業の出現も予想されるとした。(4)は、2018年末までに世界全体の治験のうち約20%がバーチャルや遠隔を通じて実施される見通しだという。

 (5)は、特に診断支援や高度な外科手術支援、画像診断、放射線治療などの領域で活用が進むと予想している。(6)に挙げたスマートホスピタルとは、テクノロジーとデータを活用してあらゆる状況をリアルタイムでモニタリングし、情報共有を行うことができる医療機関のことである。業務効率化や優れた医療の提供を可能にすると期待できる。(7)は、主に医療機器ベンダーや消費者向けのヘルスケアデバイスを手掛けるメーカーにとって脅威となると予測する。