九電工は、インドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州スンバ島に「再生可能エネルギーと鉛蓄電池によるエネルギー管理システム(EMS)」のハイブリッド型発電実証施設を完成させ、1月から運転を開始する。インドネシア政府技術評価応用庁(BPPT)との共同事業となる。
同EMSは、離島など配電網が脆弱な地域や未電化地域への導入を目的とする。出力変動が大きい太陽光などの再生可能エネルギー由来の電力を安定的に供給でき、複数の電源ソースによる統括制御や発電施設間での同期運転が可能という。
今回の実証では、インドネシア政府がスンバ島に設置した出力500kWの太陽光発電所の出力の一部を使用し、同EMSで出力を安定化する。第1段階として、同島の送電網に200kWhの電気を1日6時間供給する計画で、停電が多い同島での電力安定化に貢献する。
また、古河電池製のサイクル用途の制御弁式鉛蓄電池「FCP-1000」(576セル、1.15MWh)と蓄電池モニタリングユニット(BMU)を蓄電サブシステムに採用した。充放電を交互に繰り返すサイクルユースに対応し10年以上(目標)連続稼動できるように設計したほか、BMUにより蓄電池の充電状態や劣化状態を常時監視できるようにした。
九電工は、2015年からハウステンボス技術センターと共同で長崎県のハウステンボス敷地内で同EMSを実証してきた。2016年には環境省補助事業(途上国向け低炭素技術イノベーション創出事業)に採択された。
インドネシアには有人の離島が数千カ所あり、多くが旧来型のディーゼルエンジン発電を稼働しているのが現状という。今回の実証により、同EMSの遠隔監視機能を用いて保守運用が困難な地域でも円滑な運用を実現するほか、事前の故障検知機能の充実など、BPPTと共同でインドネシアに適したO&M(運営・保守)手法の確立を目指す。