サウジアラビアの電力会社であるACWAパワー社は1月13日、仮想通貨(暗号通貨)の1つ「SolarCoin(ソーラーコイン)」を採用すると発表した。同仮想通貨のエコシステムに参画する主要な発電事業者は同社が初めてという。

 ソーラーコインを採用することによって同社は、太陽光で1MWhを発電するごとにソーラーコイン1個を得られると同時に、商品やサービスの決済を可能とする。

 ソーラーコインは、「ビットコイン」など他の仮想通貨と同様にブロックチェーンに基づくデジタル資産だが、クリーンエネルギーへの移行を加速するために創設された点が特徴。エネルギーに関連付けた仮想通貨とし、それを発電量に応じて分配することで、よりグローバルな規模で太陽光発電を取引するの動機づけを与える狙いがある。

 仮想通貨では取引記録の整合性を保つための分散台帳の「マイニング処理」で膨大な演算が必要となり、その処理のためには高性能で消費電力の大きな装置が必要となる。ソーラーコインでは低炭素型のブロックチェーン技術を採用し、従来の仮想通貨と比較して消費電力を大幅に低減したという。

 ACWAパワー社のパディ・パドマナサン(Paddy Padmanathan)社長 兼 CEO(最高経営責任者)は、「ソーラーコインによってブロックチェーン技術を活用し、再生可能エネルギーの発電で新たな価値を創出すると同時に太陽光のコストをさらに低減していきたい」と述べている(関連記事1)(関連記事2)。

 ACWAパワー社によると、同社が南アフリカで運用する出力50MWの集光型太陽熱発電所(CSP)「Bokpoort」とブルガリアで運用する出力50MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「Karadzhalovo」では、既にソーラーコインを得ているという。