世界クリーン・エネルギー新規投資の推移(カテゴリー別)
世界クリーン・エネルギー新規投資の推移(カテゴリー別)
(出所:Bloomberg New Energy Finance)
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 調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は1月12日、「2016年における世界のクリーン・エネルギーへの新規投資が18%減少し2875億ドルとなった」との調査結果を発表した。

 2016年のグローバル投資が減少したことは、同年の四半期ごとのデータが弱含みであったことからも事前に予測されていた。部分的には、再エネの機器や装置、特に太陽光パネル価格の急速な下落が反映されたものだとする。

 しかし、中国と日本という2つの主要市場の冷え込みが顕著だったことが、根本的な要因と指摘している。中国における2016年のクリーン・エネルギー投資は2015年に比べて26%減の878億ドル、日本では同43%減の228億ドルだった。

 BNEFでアジア代表を務めるジャスティン・ウー氏は、「世界で最も寛大なレベルの固定価格買取制度に後押しされ、記録的な投資が数年間続いた後、中国と日本は新規の大規模なプロジェクト開発を削減し、既に着工済みや計画済みの容量を消化する方向にシフトしている」と述べている。

 中国では電力への需要が頭打ちになりつつあり、政府は、既に設置された再エネ電源をフル活用するため、送配電網への投資や電力取引市場の改革に注力しているという。

 日本の場合、メガソーラー(大規模太陽光発電所)のプロジェクトではなく、消費者が設置する住宅用の太陽光発電システムが今後の市場成長を担うと指摘する。電力の自家消費における経済性が向上し、太陽光発電システムの魅力が高まるためという。

 世界全体では、欧州を中心とした洋上風力発電への新規投資が300億ドルとなり記録を更新するなど、再エネ市場の成長性に関し、地域や分野による違いが鮮明になっている。