中国系企業によるメガソーラー
中国系企業によるメガソーラー
(出所:日経BP)
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 米国の調査機関であるエネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)は1月6日、「米トランプ次期政権のエネルギー政策が実行に移されれば、成長が続く世界の再生可能エネルギー産業において、中国の支配が拡大する」との見通しを明らかにした。

 同研究所が公開した調査報告書「中国の再生可能エネルギー・グローバルな拡大:世界第2の経済大国がクリーン電力への投資でどう世界を主導するか」で示した。米国の政権交代が、将来性のある再エネ関連産業における中国のグローバルな主導権を高め、技術や投資、製造、雇用などでこれらの分野における中国の優位性が高まるとしている。

 同報告書の筆頭著者でIEEFAのエネルギー経済部の部長を務めるティム・バックリー氏は、「トランプ政権がグローバルに加速するエネルギー転換を遅らせれば、米国は経済の面で競争力を低下させる可能性が極めて高い。米国が製造業をベースとした経済成長を真剣に促進したいのであれば、クリーン・エネルギーを避けるべきではない」という。

 同報告書では、中国によるクリーン・エネルギー投資の総額は国内外で年間1000億ドルを上回り、米国の2倍以上としている。その大半は国内への投資だが、対外投資も2016年だけで320億ドルに達し、年率60%で投資額を増やしている状況などについて詳説した。再エネやクリーン・エネルギー事業を国内外で拡大している中国企業30社の事例も掲載している。

 太陽光発電に関して同報告書は、2016年における世界の太陽光パネル・メーカーの上位6社のうち5社が中国企業と指摘した。風力発電でも、2015年に中国のGoldwind社がデンマークのVestas社を追い越して世界最大の風力タービン・メーカーとなり、世界の上位10社のうち5社を中国企業が占めたとしている。