回転ガントリーを導入した、放射線医学総合研究所(放医研)の重粒子線治療室
回転ガントリーを導入した、放射線医学総合研究所(放医研)の重粒子線治療室
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 2016年4月の診療報酬改定で、粒子線によるがん治療の一部症例に保険が適用される見通しとなった。対象は小児がんに対する陽子線治療と、手術非適応の骨軟部がんに対する重粒子線治療。300万円前後と高額だった患者負担額が減ることで、粒子線治療の普及に弾みが付きそうだ。

 2016年1月14日に厚生労働省が開いた先進医療会議で、意見がまとめられた。同会議では粒子線治療についてこれまで、先進医療の対象から外すことを含めた検討がなされてきた。今回は一転、先進医療適用を維持し、一部症例には保険を適用する方向へ転じた。

 小児がんについては、陽子線治療の有効性と安全性が「既存X線治療に比較して上回る」と評価。骨軟部がんについては、切除(手術)非適応例に限って「重粒子線治療は既存治療に比較して上回る有効性を示している」とした。一方、頭頸部の非扁平上皮がん、肝臓がんおよび肺がんについては、保険適用を見送った。

 粒子線治療の先進医療にかかわる取り扱いについては、2つの方針を示した。第1に、学会主導の統一された治療方針に規定された適応症については、学会から提案された新たな施設基準で「先進医療A」として実施する。第2に、有効性・安全性などの観点から重点的な評価が必要な適応症については、「先進医療B」としてプロトコールを作成して実施する。