AES製蓄電システムのイメージ
AES製蓄電システムのイメージ
(出所:三菱商事)
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 三菱商事は1月13日、インドで系統運用を安定化するための大型蓄電池の実証事業を実施すると発表した。米国の大手独立系発電事業者であるAES Corporation社、インドのデリー近郊で配電事業を展開するTata Power Delhi Distribution Limited社(以下、 TPDDL社)と実証プロジェクトの推進について基本合意した。

 同社とAES社がTPDDL社の変電所内に1万kW(10MW)級の蓄電池システム「Advancion」を設置し、配電系統の安定化を実証する。連系するTPDDL社の配電網は、700万戸以上に電力を供給している。

 「Advancion」はAES子会社であるAES Energy Storage社が供給する蓄電池システムで、コンパクトな構造と独自の制御システムにより、運転コストを最小化するなどの特徴があるという。三菱商事は、2016年2月にアジア・オセアニア地域での同蓄電池システムをAESと共同販売することに関し、合意している(関連記事)。

 インド政府は、電力不足の解消、温室効果ガス排出量の削減、大気汚染の改善を目指し、風力や太陽光発電などの再生可能エネルギーを積極的に導入する計画だ。だが、出力変動の大きい風力・太陽光の大量導入に関しては、配電系統の電圧上昇や系統全体の需給バランスが崩れることによる周波数の変動や停電のリスクなどの課題がある。

 蓄電池システムの導入により、風力・太陽光発電の出力変動を緩和することで、電力品質の安定化や停電リスクの低減が期待されている。

 インドでの系統用大型蓄電池の実証プロジェクトに関しては、1月10日にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)も、実証前調査(FS)を開始すると発表している(関連記事)。