JCMの仕組み
JCMの仕組み
(出所:日本政府資料「二国間クレジット制度・JCMの最新動向」)
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 公益財団法人・地球環境センター(GEC)は1月12日、「2015年度二国間クレジット制度(JCM)」を利用した設備補助事業に採択された2次募集分の案件を公表した。すでに1次募集では13件を採択済み。今回の公表で2次募集分の採択は21件となった。

 JCM(Joint Crediting Mechanism)とは、途上国に低炭素技術を活用した機器・製品などを導入し、その事業によるCO2削減量を測定・検証し、「JCMクレジット」として発行することを目指すもの。初期投資費用の2分の1を上限に国が資金支援し、発行されたクレジットの2分の1以上を日本国政府に納入するという仕組みだ。

 JCM設備補助事業は、空調や照明、製造設備などに対する省エネ事業が多く、太陽光発電設備関連は、1次募集の採択案件では13件中2件に留まった。
 採択されたのは、以下となる。
 ・YKKが、バングラディシュで実施する「ファスナー工場への太陽光・ディーゼルハイブリッド発電システムの導入」
 ・パシフィックコンサルタンツが、タイで実施する「工場屋根を利用した太陽光発電システム導入プロジェクト」

 2次募集では21件中7件が太陽光関連となった。
 7件の内容は、以下となる。
 ・シャープが、インドネシアで実施する「ジャカバリン・スポーツシティ1.6MW太陽光発電導入プロジェクト」
 ・アジアゲートウェイが、カンボジアで実施する「インターナショナルスクールへの超軽量太陽光発電システムの導入」
 ・パシフィックコンサルタンツが、ケニアで実施する「製塩工場における太陽光発電プロジェクト」
 ・パシフィックコンサルタンツが、バングラディシュで実施する「50MW太陽光発電所建設プロジェクト」
 ・イオンリテールが、ベトナムで実施する「ホーチミン市ショッピングモールにおける太陽光発電の導入」
 ・シャープが、モンゴルで実施する「ダルハン市における10MW太陽光発電事業」
 ・ファームドゥが、モンゴルで実施する「首都近郊農場での2.1MW太陽光発電による電力供給プロジェクト」

 JCMは、日本政府が独自に創設した仕組みで、国連による国際的な温暖対策の枠組みの中で認められたものではない。そのためJCMで発行したクレジットは、国連が認証したものではない。2015年12月に国連の場で採択されたパリ協定に基づく新たな国際枠組みの中で、今後、日本独自のJCMがどのように位置づけられるかが注目される。