ドイツの電源別の発電能力
ドイツの電源別の発電能力
(出所:Agora Energiewende)
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部分日食が起きた日には、太陽光発電の出力変動を吸収
部分日食が起きた日には、太陽光発電の出力変動を吸収
(出所:Agora Energiewende)
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 ドイツのシンクタンク(政策提言機関)であるAgora Energiewendeは1月7日、2015年のドイツにおける電源別発電状況の調査結果を発表した。

 調査によると、2015年はドイツの再生可能エネルギー発電にとって、記録的な年になったとしている。発電量で、風力発電、太陽光発電、水力発電、バイオマス発電の合計が、過去最高の32.5%を占め、他の電源を上回った。2014年の27.3%から、約5ポイント拡大した。

 風力発電が2014年比で50%以上増え、再エネ全体の増加に最も寄与した。

 ドイツの全電源の発電量も過去最高となり、647TWhとなった。2014年に比べ、石炭火力の発電量が減ったにも関わらず、約3%増えた。

 電力需要は、2014年とほぼ同等だったため、発電量の増加分は、輸出の増加につながった。輸出した電力量は、過去最高の60.9TWhとなり、2014年に比べて約50%増加した。発電電力の約10分の1を輸出したことになる。

 こうした状況についてAgora Energiewendeは、ドイツは原子力発電を停止していても電力の供給力が過剰にあり、さらに石炭火力を低減する余地があると分析している。

 また、2015年8月23日には、ドイツにおける電力需要のピーク時に、全体の83.2%を再エネの電力が賄っていたとする。

 2015年3月20日には、部分日食が起き、太陽光発電の出力低下に伴うドイツ全体の電力系統の対応力が試された。この際には、電力システム全体で対応し、需給バランスを維持できた。風力・太陽光発電の出力変動に対応できる柔軟性が一層向上しているとしている。

 電力の卸価格は、平均3.16セント/kWhに下がった。2014年比で約10%減となり、過去10年間で最低価格を記録した。