耕作放棄地に太陽光パネルを設置した例  
耕作放棄地に太陽光パネルを設置した例  
(出所:リベラルソリューション)
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 太陽光発電・オール電化を手掛けるリベラルソリューション(東京都世田谷区)は2015年12月、耕作放棄地向けの太陽光発電の販売が順調に伸びている実績を公表した。

 同社は2014年から農地転用の仕組みを活用し、耕作放棄地向けの太陽光発電設備の受注に力を入れている。その結果、特に仙台支社管内が好調で、2014年は年間21件、2015年は同48件と、依頼数が順調に増加しているという。

 耕作放棄地は、まったく収益を生まない一方、税金などの支払いで負担だけが発生する。そこで、太陽光発電設備を設置し、その売電により負担を大幅に軽減したり、黒字化しようと耕作放棄地を農地転用する農家が増えている。ある東北地方の農家の例では、1300m2の耕作放棄地に太陽光発電設備を導入することにより、年間およそ20万円の赤字であった収支が、約60万円の黒字に転換したという。

 同社によると、特に後継者問題を抱えた農家で、太陽光発電の導入が増加しているという。農地転用に踏み切る農家は70歳を超えた高齢者に多く、遊休農地を整備することも難しいため、同社社員が、草刈りや太陽光発電設備の掃除などを請け負うサービスも提供しているという。

 近年、農業従事者数の減少と平均年齢の上昇は顕著で、耕作放棄地も年々増加傾向にある。一方で、農林水産省と総務省は、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の大筋合意を受け、耕作放棄地の固定資産税を現状の1.8倍に引き上げることを検討している。

 同社では、「TPPへの参加により、今後、後継者のいない高齢者による農業経営はますます厳しくなる。その解決策の一つとして、農地転用による太陽光発電導入のニーズが高まる」と見ている。「おコメの栽培から、太陽光発電で生まれたエネルギーを売電する取組みへの転換」が認知され始めているという。