図1  NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの新野隆氏
図1  NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの新野隆氏
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 NECは2018年1月にイギリスで行政向けの業務システムに強みを持つITサービス会社の英Northgate Public Services(NPS)社を投資ファンドの英Cinven社から買収する(ニュースリリース、図1)。買収額は約713億円(4億7500万ポンド)。NECは、同社の顔認証や指紋認証などの生体認証技術を基盤とした出入国管理システムや、警察向けの犯罪者指紋照合システム、市中映像監視システムなどのセーフティー事業の海外展開を強化する。イギリスだけでなく、オーストラリアやカナダなどのイギリス連邦の国々での事業展開を狙う。今回の買収は2018年1月末に完了する予定。

 NECがNPS社の買収を決めた理由の1つが同社の持つ顧客基盤である。同社はイギリスで警察向けの犯罪事案管理システムや自動ナンバープレート読み取りシステム、交通違反の違反処理システムなどを手掛けている(図2)。加えて、同国の中央政府や地方自治体の徴税・社会保障給付システムでは高いシェアを持つ。

図2 NECが示した買収するNorthgate Public Services(NPS)社の強み
図2 NECが示した買収するNorthgate Public Services(NPS)社の強み
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 イギリスは行政コストの可視化や、行政サービスのオンライン化が進んだ「デジタル先進国」(NEC代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの新野隆氏)。しかし、デジタル化は進んでいても「データの活用や、システム間の連携は不十分なところも多い」(同氏)という。そこにNECの持つ生体認証技術や、ビッグデータ解析技術を適用することで、システムの使い勝手を良くしたり、詐欺検知などの新しいサービスを創出できるという。