エストニアのElering社と英領ジブラルタルのWePower社は1月4日、ブロックチェーン技術を活用してエネルギーのデータを小単位で処理(トークン化)する大規模な実証プロジェクトをエストニア国内で実施すると発表した。

 Elering社はエストニアの送電網とガス管網を運用する国営の事業者、WePower社はブロックチェーン技術に基づくエネルギー取引プラットフォームや関連技術を開発するベンチャー企業である。

 両社によると、この種の実証プロジェクトは欧州で初めてであり、同地域の再生可能エネルギーをエストニアのスマートグリッドに統合するための布石になる。

 エストニアでは2017年までに、すべての電力計をスマートメーターに切り替える作業が完了するなどスマートグリッドの導入が進んでおり、1時間単位で電力消費量を把握できるようになる。このため、ブロックチェーン技術による電力消費データのトークン処理やエネルギー取引などの実証プロジェクトを行ううえで理想的な環境が整備されているという。

 同実証プロジェクトでは、Elering社が開発した電力消費に関するデータ交換プラットフォーム「Estfeed」にWePower社がブロックチェーン技術に基づくエネルギー取引やスマート・コントラクトのプラットフォームを統合する。

 これにより、エストニア全土でエネルギー消費や再エネ発電に関するデータをブロックチェーン技術によってトークン化や処理することが可能となる。エネルギーの生産と消費の両方を行う「プロシューマー」が、電源の規模や構成によらずエネルギーを取引できるようになるという。

 Elering社のTaavi Veskimägi最高経営責任者(CEO)は、「当社が送電網運用事業者としてこのプロジェクトに参加する目的は、エネルギー市場が持つ課題を解決しエネルギーシステムの技術革新を実現することだ。そのためにデータ交換プラットフォーム『Estfeed』を開発し、顧客がスマートメーターのデータを新しいサービス事業者と共有できるようにした。それらを実現するために提携したWePower社は、エネルギー分野における技術革新の可能性を追求している代表的な企業だ」と、今回のプロジェクトを評価している。

 ブロックチェーン技術を活用したエネルギー取引は現在、実証プロジェクトやマイクログリッドとの統合といった取り組みが世界の各地で活発化している(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3)。