米Qualcomm社、独Audi社、スウェーデンEricsson社、独SWARCO Traffic Systems社、独カイザースラウテルン大学(University of Kaiserslautern)は、2017年1月4日、携帯電話網を使った自動車用無線通信技術であるCellular-V2X(C-V2X)のトライアル推進コンソーシアム「Connected Vehicle to Everything of Tomorrow」(ConVeX)の結成を発表した(Qualcommのニュースリリース)。設立にあたっては、ドイツ連邦交通・デジタルインフラストラクチャー省(German Federal Ministry of Transportation and Digital Infrastructure(BMVI))も参加し、ドイツにおけるコネクテッドカーのフィールド試験推進を支援する。

  トライアルは3GPPリリース14に基づいて行われる。4Gと5Gで構築するV2N(車両とネットワーク間通信、Vehicle-to-Network)広域通信を使う。V2V(Vehicle-to-Vehicle、車車間通信)、V2I(Vehicle-to-roadside-Infrastructure、路車間通信)、V2P (Vehicle-to-Pedestrian、車両と歩行者間)直接通信試験などが行われる。

 ETSI(European Telecommunications Standards Institute、欧州電気通信標準化機構)のITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)を使って、実際の交通状況下での性能と使い勝手を調査していくという。なお、ConVeXの役割は、フィールドテスト環境の立ち上げやテストの推進にあるが、5.9GHz周波数帯を使ったC-V2X直接通信管理システムについては、Ericsson社がドイツ国内の高速道路や一般道、都市部に構築しているテストネットワークに展開される。

  トライアルの目的は、C-V2Xの通信可能範囲や信頼性、低遅延性を示すとともに、3GPPリリース14に基づくC-V2X接続用プラットフォームの利便性をアピールすることにある。加えて、様々な用途や事例の試験を行うことにより、交通流量の最適化や安全性の向上、自動運転の実現も支援していくとしている。例えば、V2X との融合により、センサーが360度の視野やNLOS (non-line-of-sight、視野外)を持つようにすることで、障害の多い交差点や悪天候時の運転を支援できるようになる。また、高精度のGNSS (Global Navigation Satellite System、汎地球測位航法衛星システム)と連携することで、車の位置情報を共有できるようになるという。