登壇した中尾氏
登壇した中尾氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「価格の毎年改定には、医療機器業界としては反対だ。その意向を公式に行政へ伝えた」――。

 日本医療機器産業連合会(医機連)は2017年1月6日、東京都内で年頭記者会見を開催した。登壇した中尾浩治会長が説明に多くの時間を割いたのは、2016年末に政府が実施方針を表明した「薬価の毎年改定」に対する反応。毎年改定が医療機器にも適用されることへの危惧をあらわにした。

 会見では薬価毎年改定の方針が固まった背景に、高額のがん治療薬「オプジーボ」の薬価引き下げがあったことを指摘。対象疾患の適用拡大の影響が十分に考慮されていなかった、当初の薬価設定などに問題があったとの見方を示した。薬価の毎年改定を受け、医療機器についても毎年改定を「議論しないわけにはいかないだろう。だが、何のための毎年改定かを問いたい」(中尾氏)。

 医機連はかねて、医療機器価格の毎年改定には反対の姿勢を貫いてきた(関連記事)。その理由として今回の記者会見では、医療機器は医薬品に比べて市場規模が小さくその割に品種は多いため、価格の妥当性評価などに当たって統計的に意味のある調査結果が得られるまでに、長い時間を要することを挙げた。使用者のラーニングカーブを考慮した価格設定が重要な点も、医薬品との違いという。

 医療機器価格に毎年改定を適用すれば「行政や卸(業者)は(価格調査などの作業に)かかりっきりになってしまう。その手間をかける意味が本当にあるかを訴えていきたい」(中尾氏)とした。