グリ石による太陽光の蓄熱システム
グリ石による太陽光の蓄熱システム
(出所:山口県農林総合技術センター)
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太陽電池と蓄電池による独立電源を設置
太陽電池と蓄電池による独立電源を設置
(出所:山口県農林総合技術センター)
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太陽電池と蓄電池による独立電源を設置
(出所:山口県農林総合技術センター)

 山口県農林総合技術センターは、2016年12月14~16日に都内で開かれた展示会・アグリビジネス創出フェア2016(農林水産省主催)で、「太陽光エネルギーを蓄熱利用するイチゴ省エネ栽培システム」の実証成果について公表した。

 同システムは、日中のハウス内の余剰熱を蓄熱槽に蓄えておき、温度低下時の加温に活用する。隣接する未利用ハウスの屋根に1.62kWのフィルム型太陽電池を設置し、蓄電池(450Ah)と組み合わせて独立電源とし、送風ファンなどを稼働させる。

 イチゴ栽培は、腰ほどの高さの台上で育成する高設型を採用した。台の下にグリ石(岩石を割った小石)による蓄熱槽を配置し、イチゴ苗を下から加温する仕組み。ハウス内の温度が、グリ石の温度より高くなった場合、送風ファンを稼働して蓄熱する。

 ハウス表面には布団状保温資材を装着し、日中は巻き上げて、太陽光を取り入れた。布団資材と太陽光蓄熱利用システムの相乗効果により、栽培期間中、ハウス内の温度を4℃以上に維持できた。

 2015年12月から2016年3月まで実証し、暖房用の燃料使用量ゼロを実現した。化石燃料を使わないことで、暖房費を8割削減しつつ、基準単収4t/10aを確保したという。

 今回の実証プロジェクトは、ジオパワーシステム、佐藤産業、東洋殖産、山口県によって構成するイチゴ省エネ実証協議会が実施した。