米テスラがLiイオン蓄電池の量産を開始した「ギガファクトリー」
米テスラがLiイオン蓄電池の量産を開始した「ギガファクトリー」
(出所:Tesla)
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 米テスラは1月4日、米ネバダ州リノ(Reno)の東方約35kmに建設していた工場「ギガファクトリー(Gigafactory)」で、パナソニックと共同でLiイオン蓄電池の量産を開始した、と発表した。まず、年間35GWhの生産を見込む。

 「2170セル」(21mm×70mm)と呼ぶ円筒形のセル(単電池)を量産する。同社がこれまで採用していた汎用品のセル「18650」(18mm×65mm)より一回り大きい寸法となる。テスラとパナソニックが共同開発したもので、電気自動車(EV)や定置型蓄電池など向け製品で、最高の性能を最低の製造コストで量産することを目指すとしている。

 同社は昨年12月、2170セルの品質検査のための製造を開始していた。当面、ギガファクトリーでは、定置型蓄電池である「パワーウォール2(Powerwall 2)」と「パワーパック2(Powerpack 2)」向けの2170セルを量産する計画である。これらの定置型蓄電池は、住宅用の太陽光発電システムや産業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)、マイクログリッドなどでの利用が見込まれている。

 EV「モデル3(Model 3)」向けの2170セルの量産は、2017年第2四半期に開始予定とする。

 2018年までに同工場では年間35GWhのLiイオン蓄電池を量産すると見込む。この量産規模は、世界中で現在、生産されているLiイオン蓄電池をすべて合計した量にほぼ匹敵するという

 テスラは、いくつかのフェーズに分けてギガファクトリーの建設を進めている。フェーズごとに運用することで、完成した部分から同社とパナソニック、他のパートナー企業が迅速に量産フェーズに入り、その後も漸次、生産規模を拡張できるとしている。

 フェーズごとの運用により、工場建設や運用スキルの継続的な改善や、セルの製造コスト低下といったメリットも得られるとする。

 テスラによると、現在利用している施設内の建築面積は190万平方フィート(約17万6500m2)で、複数階にまたがる延べ床面積は490万平方フィート(約45万5200m2)である。これは、まだギガファクトリー総面積の30%未満に過ぎないといい、完成時に同工場は世界最大の建築物になると同社は見込んでいる。

 ギガファクトリーの稼働で量産が進めば、セルの製造コストは大幅に下がると見込んでいる。これは単に規模の経済だけでなく、自動化率の向上、歩留まりを改善するプロセス設計、製造原単位(Wh)当たりの設備投資の削減、製造プロセスの集約・最適化など、いくつかの要因が効果を上げるとしている。

 テスラはさらに、米国内でLiイオン蓄電池を量産することによって数千人単位で雇用を創出できるとする。同社とパナソニックは、2017年だけで数千人を地元から雇用すると見込んでいる。生産量のピーク時では、ギガファクトリーは直接雇用で6500人、間接的に2万人から3万人の雇用を創出するという。