世界と日本の太陽光パネルの市場規模(容量ベース)
世界と日本の太陽光パネルの市場規模(容量ベース)
(出所:矢野経済研究所)
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 2012年7月にスタートした固定価格買取制度(FIT)は、2016年7月で5年目を迎える。太陽光発電に関しては、足元では堅調な建設が続く一方、2017年以降に施行されるFIT見直しでは、導入に抑制的な手法を選択できる形になった。ただ、実際の制度運用については、2016~17年に稼働する容量に左右されそうだ。

 受注から施工までのリードタイムの短い住宅向け市場については、「2014年秋の接続保留によって、消費者の購買意欲が低下し、出荷ベースで低迷している」(太陽光発電協会)。一方で、非住宅用については、未稼働の認定案件が約58GW以上残っているため、ここ数年は、堅調な出荷が続きそうだ。複数の民間調査会社は、2016年の太陽光発電市場を引き続き2015年と同レベルとなる8~9GWの高水準で推移すると予測している。

 2015年12月にFIT見直しに関する報告書が公表された。太陽光に関しては、「新認定制度」によって、未稼働案件(滞留案件)の一掃を目指すとともに、買取価格の決定に「トップランナー方式」を採用し、必要な場合に「入札制度」を導入できるようにするなど、導入を抑制できる仕組み用意した。この変更を折り込んだ改正法案が国会で可決され、施行されるのは最短でも2017年度からになる。

 2030年の望ましい電源構成(ベストミックス)のなかで、太陽光は7.0%(約64GW)と決まったことから、当面、これを目標に政策が打たれる。現状の約82GWの認定容量のうち、2017年以降、「新認定制度」によってどの程度、脱落するのかによって、見直し後のFITの運用の方向性が大きく左右される。