カギは「新認定制度」に移行する割合

 現状の導入量は約27GW。目標の約64GWに達するには、残り37GWの稼働が必要になる。経済産業省の政策担当者は、現行の認定量(約82GW)のうち、40~50GW程度が新認定制度に移行して稼働に至るとのイメージを持っている。

 ただ、新認定制度に移行できる案件が予想より少なく、2015年度以降の新規認定も伸びないようだと、太陽光に対して抑制的な政策が取りにくくなる。2016年度の買取価格は、FIT見直しの施行前になるので、27円/kWh(税別)と同水準になる可能性が高いが、FIT見直し後になる2017年度の買取価格も、「64GW」に届きそうもない場合、トップランナー方式による大幅な引き下げは採用しにくいだろう。

 逆に新認定制度に移行する案件が予想より多く、60GW程度まで達すると、ベストミックスの想定以上に太陽光が導入されることも考えられる。その場合、FITの賦課金が想定以上に大きくなり、国民負担の視点から、政策的な対応策を議論することになる。
 
 もう一つ、太陽光の促進政策に影響するのが、原発の再稼働数だ。「ベストミックス」では、再エネ比率は22~24%、原子力の比率は22~20%と見込み、ゼロエミッション電源(再エネと原子力)で44%を確保し、これが温室効果ガス削減の原動力になる。

 2015年12月の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で合意した「パリ協定」により、「2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比26.0%減の水準にする」という日本の約束草案は、事実上、日本の正式な国際公約となった。思うように原発の再稼働が進まない場合、再エネ比率をさらに高めるべきとの議論も出てくる。

 2016年は、こうした2017年以降に予想される再エネ政策の見直しに関し、その方向性を決める年になりそうだ。そのポイントになるのが、「新認定制度」に移行する案件(容量)と、原発の再稼働数になる。