アジア最大級のディスプレー国際会議「22th International Display Workshops(IDW '15)」では、2018年から始まる8K放送の重要な要素である広色域化の実現に対して、様々な視点からの発表と議論があった。8Kテレビで規定される広色域放送を目の当たりにするのは時間の問題だと感じた。なお、8Kテレビについては、2018年に放送を計画しているNHKが「スーパーハイビジョン」という愛称を付けており、本稿ではこの愛称を用いる(8Kテレビの国際規格の名称はRec.ITU-R BT.2020)。

 広色域化の競争では、2年ほど前から注目を浴びた量子ドットだけではなく、レーザー光源や、蛍光材料を改善した高演色LEDも加わり、激しい色域拡大競争を繰り広げている。スーパーハイビジョンが本格運用されるときに、どの技術が主流になっているかは、今まさに予断を許さない緊迫した状況にあると言っても良いだろう。

 今回、一連の技術講演を聴いた後で、改めて今回の会議初日の特別講演に登壇した名古屋大学教授の天野浩氏の青色LEDの開発にまつわる内容(関連記事)を振り返ってみると、LEDが今後のディスプレーの性能向上のカギを握る重要なデバイスであると感じた。