実証を行う地点 
実証を行う地点 
(出所:東京電力)
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出力制御システムの全体イメージ
出力制御システムの全体イメージ
 (出所:東京電力)
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 東京電力は12月16日、多数の太陽光発電設備の出力を把握し、きめ細かく制御するシステム構築に向け、実証試験を開始したと発表した。経済産業省の補助事業「次世代双方向通信出力制御緊急実証事業」の採択を受け、18の大学・企業と協力して進める。

 具体的には、早稲田大学EMS新宿実証センターに設置した「出力制御指令発信サーバー」と、東電のサービスエリア内の太陽光発電設備など8地点を双方向通信で結び、リアルタイムで発電状況などを把握しつつ、きめ細かく出力を制御する。

 将来的に太陽光発電の大量導入が進んだ場合、固定価格買取制度(FIT)上、電力会社は30日もしくは360時間まで無補償での出力抑制が認められている。実証事業によって、出力抑制量を極力少なくできる制御ノウハウを確立することで、中長期的観点に立った出力制御システムの構築を進める。

 今回の実証事業では、信号プロトコルには、デマンドレスポンス(DR:需要応答)の国内標準として推奨されている「Open ADR 2.0b」を採用する。これにより、太陽光発電の出力制御だけでなく、分散型エネルギー全般のコントロールを共通のフォーマットで行う環境を構築する。

 さらに、早稲田大学EMS新宿実証センターのスマートハウス環境や東電の技術開発センターの設備を活用して、HEMS(住宅エネルギー管理システム)との連係による余剰電力の有効活用についても実証試験を行う。

 この試験では、出力制御指令が出された際、HEMSとの連係も実証する。Open ADR 2.0bを採用することで、外部から信号を受け、HEMSの指令で家電を制御する自動デマンドレスポンス(ADR)も可能になる。家庭内のエネルギー機器の利用時間のシフトや蓄電を行い、太陽光発電の発電エネルギーを抑制することなく有効活用することを目指す。