図1●開発したロボットFSW
図1●開発したロボットFSW
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図2●摩擦撹拌接合のデモの様子
図2●摩擦撹拌接合のデモの様子
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図3●摩擦撹拌接合用のツール
図3●摩擦撹拌接合用のツール
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図4●異種材料接合にも適用可能
図4●異種材料接合にも適用可能
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 日立パワーソリューションズとトライエンジニアリング(本社名古屋市)は、接合品質に優れる摩擦撹拌接合(FSW)を行う汎用多関節ロボット(ロボットFSW)を共同開発した。省スペース、低コスト、高汎用性が特徴。自動車関連メーカーやアルミニウム製品メーカーなどの自動生産ラインへの導入を狙う。2016年4月の販売開始を予定する。想定価格は2000~3000万円(税抜)で、日立パワーソリューションズの商品として販売する。

 近年、自動車や航空機などの輸送関連分野では、軽量化のニーズが強まっている。特に自動車では、一層の燃費向上を狙い、アルミニウムの採用が拡大しつつある。これに伴い、アルミニウムの接合において、従来に比べて複雑な形状や曲面への対応が必要になってきた。ただし、従来の溶融溶接や抵抗溶接などでは、ピンホールの発生や溶接後の変形、組織の粗大化などに伴う材料特性の変化が大きいといった課題があった。高品質な接合を実現しつつ、生産ラインの自動化に対応した新たな技術が求められている。

 こうした問題意識の下、日立パワーソリューションズが持つFSWの技術とトライエンジニアリングが持つロボット制御技術を組み合わせ、複雑な曲面でもアルミニウムなどの薄肉材料を接合できるロボットFSWを共同開発した。具体的には、トライエンジニアリングの保有技術である「ロボットヘミングシステム」の加圧力制御や「ロボットマシニングシステム」のインバーター回転制御、および日立パワーソリューションズのFSW特許技術を融合させ、多関節ロボットでのFSW加工を実現した。異種材料接合にも対応可能である。このロボットFSWでは、安川電機製のロボットを採用している。ロボットヘミングシステムとは、ロボット先端に取り付けた円筒ローラーにより小さな加圧力で鉄板を折り曲げる技術である。