海上技術安全研究所と富士通、富士通システムズ・ウエストは、AR技術を活用した造船生産支援システムのプロトタイプを開発した(ニュースリリース)。造船技能者育成と生産性向上を目的としたもので、スマートデバイス上に配管3Dモデルなどを表示して、造船における複雑な配管取り付け作業を支援する。

配管にARで情報を重ねて表示しているところ
配管にARで情報を重ねて表示しているところ
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 AR技術を使って現場業務を支援するシステム「FUJITSU Manufacturing Industry Solution PLEMIA Maintenance Viewer V2(PLEMIA Maintenance Viewer V2)」を活用した。配管1本1本に付けたARマーカーを読み込むと、配管図面と配管3Dモデル、管符号などをカメラで取り込んだ映像に重ねて表示する。

システム図
システム図
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 タンカーなど大型船舶の建造では、何万本もの管を現場で組み立てて取り付ける必要がある。AR技術の導入により、正しい配管3Dモデルを確認しながら作業できるため、未熟練技能者のミスを防止し、作業時間を大幅に短縮できるという。

作業の様子
作業の様子
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 また、配管を取り付けた技能者名、作業終了日時、設計者・管理者への申し送り情報を、作業を行った技能者自身がその場で入力。作業報告書などの業務負荷を軽減し、情報伝達ミスを低減するとともに、作業状況を一元管理してガントチャートで可視化できる。

 海上技術安全研究所は今後、同システムの実証実験に参加する造船会社を募り、実用化に向けて試行運用と機能強化を進めていく予定。