東芝と東芝テックは、訪日外国人向け事業に取り組む企業や団体に向けて、ICTを活用した統合型の集客・接客サービス「トータルインバウンドサービス」を提供する(ニュースリリース)。企業や団体の要望に応じて複数のサービスを組み合わせて提供することで、従来の単体サービスに比べて効果や効率を高めることを狙う。

トータルインバウンドサービスを使った接客イメージ 商業施設向け同時通訳の例。東芝のイメージ。
トータルインバウンドサービスを使った接客イメージ 商業施設向け同時通訳の例。東芝のイメージ。
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 東芝が持つメディア知識処理や位置情報、クラウド基盤技術などのICT技術と、東芝テックのリテール市場におけるPOSシステムや免税処理サービス、各種決済サービスを組み合わせて提供する。これで、きめこまやかな訪日外国人向けサービスの提供が可能になるとする。

 発表によれば、訪日外国人を迎える国内企業や団体では、外国語が話せるスタッフの不足や、煩雑な免税手続きによる業務負担の増加など課題がある。また、訪日外国人にとっては、日本滞在時に観光・買い物などの情報をタイムリーに入手することが難しい場合や、スタッフとのコミュニケーションが十分にできないことがあり、観光や買い物などで多くの機会損失があった。

 今回の「トータルインバウンドサービス」により、迎える側の企業は業務負担が軽減されて接客に注力できるため、サービスの質の向上が見込まれるという。また、訪日外国人は、スムーズな接客とコミュニケーションにより買い物時のストレスは軽減し、「今の時期しか見られない名所・体験できないイベント」といった有益な観光情報をスマートフォンなどから得ることができるようになるとする。これまでの訪日外国人向けサービスは単体システム/ソリューションが中心だったが、今回のサービスでは、訪日外国人の観光行動や購買データなどとシステムを有機的に結合し、双方にとってメリットのある情報を提供できるという。

 具体的な取り組みとして、2015年11月中旬から「福岡・天神地下街」で開催されるイルミネーションやクリスマスイベントで、「訪日前プロモーションサービス」、「商業施設向け同時通訳サービス」、「位置情報サービス」を提供し、集客力・回遊性・接客のサービス向上のための実証実験を行う。また2016年1月から「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」にて、「商業施設向け同時通訳サービス」が導入される。