キヤノンが開発を進めている新方式の3Dプリンターのプロトタイプで造形したサンプル
キヤノンが開発を進めている新方式の3Dプリンターのプロトタイプで造形したサンプル
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汎用樹脂を使いながら複雑な形状も造形できるとする。
汎用樹脂を使いながら複雑な形状も造形できるとする。
これを「30分間で30個造形できる」という(1個あたり1分間かどうかは不明)。
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造形方式の説明パネル
造形方式の説明パネル
構造用材料とサポート材を混在させた材料シートにエネルギーを加えて造形部の樹脂を溶着させる
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プロトタイプの外観写真
プロトタイプの外観写真
構造用材料とサポート材を混在させた材料シートにエネルギーを加えて造形部の樹脂を溶着させる
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 キヤノンが新しい造形方式のプリンターを開発を進めている。新方式の概要の一端と造形サンプルを同社の技術展示会「Canon EXPO 2015 Tokyo」(2015年11月4~6日、東京国際フォーラム)で公開した。複数の汎用樹脂による造形が可能で、試作用途ではなく小ロットの生産装置としての利用を想定している。

 詳細は明かさなかったが、新方式は(1)構造材となる樹脂とサポート材を混合させた薄い材料シートを成形、(2)造形エリアに材料シートを置き、「エネルギーを面で与えて構造材およびサポートを溶着」して1層を造形、というプロセスを繰り返すことで立体形状を造る。造形する形状に合わせて、1シートごとに構造材となる樹脂とサポート材の配置を制御することで緻密な形状を造形できるという。加えて「面で1層を造形する上、溶着時に次のシートを並行して用意できるため造形スピードが速い」(同社説明員)のも特徴だ。ただし、溶着のためのエネルギーが何かについては明らかにしなかった。サポート材には、無害な水溶性材料を採用することで産業廃棄物を減らせるとしている。

 対応する樹脂については明言を避けたが、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリエチレン、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂などが利用できるとみられる。造形サイズは70×50cm程度の模様。今後3年内をメドに製品化したいとしている。

 キヤノンは2014年3月10日に開催した「2014年経営方針説明会」において、新規事業の1つとして3Dプリンターを独自開発中であることを明らかにしていた。