従来型太陽電池とMWTバックコンタクトの構造
従来型太陽電池とMWTバックコンタクトの構造
(出所:長州産業)
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新開発した太陽電池セル
新開発した太陽電池セル
(出所:長州産業)
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 長州産業は10月24日、オランダのエネルギー研究所(The Energy Research Centre of Netherlands=以下ECN)と共同して、変換効率21.5%を得られる太陽電池セル(発電素子)の技術を開発したと発表した。

 タイプの異なるシリコンを積層する「ヘテロ接合太陽電池セル」と、表面電極をなくした「メタル・ラップ・スルー型バックコンタクト」構造を組み合わせることで実現した。

 長州産業は、シリコンのヘテロ接合太陽電池セル(SHJ)に関して世界でもトップレベルの技術力を保有しているという。一方ECNは、メタル・ラップ・スルー(MWT)構造に関して世界で最も進んだ研究所という。共同実験の結果、これまでMWT型の太陽電池で世界最高記録(20.3%)の変換効率を更新し、21.5%の効率が得られることを確認したとしている。

 SHJを使った太陽電池セルは、三洋電機(現パナソニック)によって発明された技術。高効率であることや、夏季の高温時にも性能低下が少ないことなどの特性から、次世代太陽電池として注目が集まっている。

 MWT構造の太陽電池セルは、通常の構造(H型パターン)と比較して、多くのメリットを持つという。例えば、配線によって生じる影が少ないので高い電流が得られ、寒暖による気温変化に対して耐久力を持ち、基板の薄型化が容易になる。また、H型パターンを持つSHJ太陽電池の製造工程に、比較的簡単な変更を加えることでMWT-SHJ型の太陽電池セルを量産できるという。

 この試作の成功に関して、ECNのWyers取締役は、「MWTの裏面接合技術は、SHJをはじめとするさまざまな構造の太陽電池に対して驚くほど容易に適用できることが実証された」とのコメントを出した。