可視光通信の最新技術について、「可視光通信国際会議・展示会 2015」(Intenational Conference and Exhibition on Visible Light Communications 2015)が2015年26日、慶應義塾大学 日吉キャンパスで開催された。可視光通信にテーマを絞った国際会議・展示会は世界初という。展示会では、(1)スマートフォンのカメラを受信機として使ったデジタルサイネージ(電子看板)や(2)高性能カメラを使ったドローンなどの固体識別といった用途に向け、技術開発の進捗などが報告されていた。
可視光通信は10年ほど前に話題となったが、その後実用例はほとんどなかった。しかし、「ここ2年くらいで再び注目が集まり、実用化例が見え始めた」と話すのは、可視光通信協会 理事、慶應義塾大学名誉教授の中川正雄氏だ。「カメラ」「アプリ」「無線通信」の3つを備えるスマートフォンが普及したことが、一番の要因だという。実際、(1)のデジタルサイネージでは実用化例がいくつか登場している。展示会では、東京国際展示場から2016年春に導入が決まっているパナソニックの「光IDサービスソリューション」(関連記事)や、2015年度内に実証実験を始めるなど実用レベルに達している富士通の「モノと情報をつなげるLED照明技術」などが展示された。可視光通信ではIDやURLを送信できるため、各種掲示物にスマートフォンのカメラを向けてAR(拡張現実感)で多言語情報を提供したり、文字情報と音声情報を切り替えるバリアフリー表示などに活用したりできる。そこで、2020年の東京オリンピックに向けて需要が高まると期待されている。