トヨタ自動車が2015年10月に公開した自動運転実験車は、従来の先行車追従機能(ACC)や車線維持機能(LKA)に加えて、車線変更や追い越しなどの機能を新たに搭載した(関連記事、図1、2)。車両に搭載したセンサーで車線や道路上の障害物を認識しながら、自動車専用道路のETC(Electronic Toll Collection System)ゲート間をほぼ自動で走行する。渋滞時や割り込みが必要な合流では人による介入が必要なこともあるものの、首都高速道路の片道5.5kmほどの行程のほとんどを自動走行できた。2020年頃の実用化を目指すという。

図1 自動運転車両のフロントビュー
図1 自動運転車両のフロントビュー
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図2 リアビュー
図2 リアビュー
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 同実験車では、あらかじめ道路の3次元(3D)詳細地図データを作成しておき、車載センサーから得られる周囲の情報と地図データを組み合わせる。車載センサーで障害物や車線を検知しつつ、同時に地図データ上の自己位置を把握することでコースを先読みしながら走行する。地図データに交通ルールや、事故・交通規制情報などをひも付けることで、地点ごとに必要な運転操作が可能になる。将来は、車載センサーによる「自律型」の衝突回避システムと、車車間(V2V)・路車間(V2I)通信などのITS(Intelligent Transport Systems)による「協調型」の先読みシステムを組み合わせた仕組みを想定する。