太陽光発電協会(JPEA)は10月9日、水害で被災した太陽光発電システムの点検・撤去に関する手順・留意点を公開した。

 9月に起きた鬼怒川の氾濫など(関連ニュース1)、台風などによる水害で水没や浸水した太陽光発電システムを想定し、これまで公開してきた内容を更新した上、改めて注意を喚起したもの。

 鬼怒川が氾濫した翌日の9月11日にも、水没・浸水した太陽光発電システムについての注意を呼び掛けていた(関連ニュース2)。

 今回は主に、水害に遭った太陽光発電システムに関わる電気主任技術者や販売施工事業者など、太陽光発電システムや関連設備についての知見が一定以上ある従事者を対象とした。水害後の点検や撤去に関する情報をまとめた。

 水害に遭った太陽光発電システムは、その一部やすべての機器が、機能不全に陥っている可能性がある。パワーコンディショナー(PCS)の稼働を停止した場合でも、太陽光パネルは光が当たれば発電する。このため、直流側のケーブルや、機器の端子は充電されている状態となる。

 しかも、太陽光パネルや関連機器、配線は、被災して絶縁性が低下し、予期しない場所に電流や電圧が印加されている場合があり、留意しなければならない。

 そのような状況における点検や操作などに際し、必要に応じて、絶縁衣や電気用高圧ゴム長靴、絶縁手袋を着用したり、絶縁処理された工具を使うといった装備をはじめ、太陽光パネルを遮光用シートなどで覆って発電を止めること、パネル間の接続ケーブルなどの接続順序を確認し、無電圧や低電圧になるように処置するといった準備の手順から示した。

 点検する場合、発電システムの不要な動作を防止する観点から、電力系統側から受変電設備(低圧の場合は主幹ブレーカー)、PCS、集電箱、接続箱、太陽光パネルの順で作業することが望ましい。絶縁抵抗の測定は、すべての機器のブレーカーや断路器などを開放後に実施する。

 確認すべき文書として、JEAC 8021-2013 自家用電気工作物保安管理規程(日本電気協会)、JEM-TR228 小出力太陽光発電システムの保守・点検ガイドライン(日本電機工業会)、 BU145001 太陽光発電システム保守点検ガイドライン【10kW以上の一般用電気工作物】(太陽光発電協会)などを挙げている。