蓄電池を設置した西ノ島変電所
蓄電池を設置した西ノ島変電所
(出所:中国電力)
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設置したNAS電池
設置したNAS電池
(出所:中国電力)
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設置したLiイオン電池
設置したLiイオン電池
(出所:中国電力)
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 中国電力は9月30日、太陽光と風力発電の出力変動対策として、2種類の蓄電池を変電所に設置する実証事業を隠岐諸島で開始すると発表した。環境省の補助事業である「ハイブリッド蓄電池システムによる技術実証事業」で、2014年11月から設置工事を進めてきた。

 島内に約8MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)と風力発電設備を新規に設置し、ナトリウム硫黄電池(NAS)とLiイオン電池の「ハイブリッド蓄電池システム」(出力6.2MW、容量25.9MWh)を西ノ島変電所に設置して、再エネの出力変動などを調整する。2015年度~2017年度の3年をかけて実施する。工事費の総額は約25億円。

 太陽光と風力の出力変動は、雲の通過などによる「速く小さな変動(短周期変動)」と、太陽の位置変化などに伴う「遅く大きな変動(長周期変動・余剰電力)」がある。「ハイブリッド蓄電池システム」の実証事業では、「速く小さな変動」をLiイオン電池で、「遅く大きな変動」をNAS電池で吸収するよう制御する(関連記事)。

 西ノ島変電所にエネルギー管理システム(EMS)を新規導入し、特性の違う2種類の蓄電池を最適制御することで、電気の品質(周波数)を一定に維持する。

 新規に導入する太陽光発電は、出力3MWの「旧隠岐空港メガソーラー」(隠岐の島町公募採択事業者)、約2MW(事業者非公開)のメガソーラーに加えて、隠岐諸島全体で約500kW分の住宅用システムの設置を予定する。風力は2MWの「海土風力発電」(エネルギア・ソリューション・アンド・サービス)を建設する。隠岐諸島には既存の再エネ(風力、住宅用太陽光、水力)が約3MW分稼働しているため、島内合計で約11MWの再エネ設備となる。

 「ハイブリッド蓄電池システム」の内訳は、NAS電池4.2MW(25.2MWh)、Liイオン電池2MW(0.7MWh)となる。電力系統制御用のハイブリッド蓄電池システムの活用は、国内初の試みという。実証終了後も、設備は継続利用する。