稼働した「ポジティブ・エナジー・ビルディング・HIKARI(ヒカリ)ビル」
稼働した「ポジティブ・エナジー・ビルディング・HIKARI(ヒカリ)ビル」
(出所:NEDO)
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 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は9月18日、フランスのリヨン市で、「ポジティブ・エナジー・ビルディング・HIKARI(ヒカリ)ビル」の実証運転を開始したと発表した。ビルの建設などはフランスの大手建設会社であるブイグ社が担当し、東芝がEMSなど省エネ設備を担当するなど、日本企業が参加した。

 「ポジティブ・エナジー・ビルディング(PEB)」とは、太陽光発電や蓄電池、蓄熱材などを積極的に導入し、エネルギーマネジメントシステム(EMS)で管理することで、ビル内の消費量を上回るエネルギーを生み出すビルを指す。フランスは、全ての公共の新築ビルをポジティブ・エナジー・ビルディングにするとの目標を掲げている。

 リヨン市再開発地域内に新設された、オフィス・住居・店舗からなる複合ビルである「HIKARIビル」に、太陽光発電、コジェネレーション(熱電併給)システム、吸収式冷凍機などの創エネ機器のほか、蓄電池・冷水蓄熱用蓄熱物質などの蓄エネ機器、そしてLED照明などの省エネ機器を設置した。これらの設備をEMSで統合管理することによってビルのエネルギー消費量を10%以上削減し、PEBの実現を検証する。

 フランス第2の都市であるリヨン市は、リヨン都市共同体(グラン・リヨン)が「コンフルエンス地区の都市再開発」を進めており、NEDOは2011年からグラン・リヨンと連携して、スマートコミュニティ実証事業を実施している。

 今回のPEBの構築はタスク1にあたり、今後、タスク2として、太陽光発電を活用したEV(電気自動車)管理システムとEVカーシェアリングシステムの導入。タスク3として、既存住宅におけるエネルギー消費量の「見える化」で、住民の省エネルギー行動の促進。タスク4として、それまでのプロジェクトで収集したエネルギー情報を地域全体で活用するための指標を提示するコミュニティマネジメントシステム(CMS)の構築、というスケジュールを掲げている。